take a trip stroll down memory lane

dots

携帯を胸に握りしめて
私は
部屋の中を
行ったり来たりしていた。
眉間にしわを寄せて
うんうんと唸ったり
眉をハの字にして
寂しそうな表情をしたり
私って忙しい。

ふと
前方確認。

全身鏡に映った
私の姿。
胸の前で両手握っちゃって
気持ち悪い
こんなぶりっ子ポーズ
私には似合わないよ。


大きく深呼吸をしてから
頭からベッドにダイブした。
ギシギシとスプリングが
私が重いと文句を言う。
うるさいな
ベッドの癖に。

枕に顔を埋くめて
もう一度
うーん.
と唸り
‥‥‥
勢いよく起き上がり決意を決めた。



メールを打って
着替えをして
約束の場所へと出掛けた
私。
夜の風は
冷え性の私の足を
一層冷たくしていく。
負けないよ。
冷たい風も
あいつに会えるなら
斬り裂いていける。
ゆらゆら:ふわふわ
少し遅れるけど
急いで来てくれるって。
それまで
もう少しだけ
この冷たさと戦うか。
久しぶりに来た小学校は
とても小さく見えた。
特に流し台とかが低くて可愛かった。
全ての窓が閉まっていたので
渡り廊下の恥じっこに座って待つことにした。


私が小学校に来て30分ぐらいたった頃
門がガシャンと言うのが聞こえた。
正直
30分はキツかった。
でも
どうしてだろ?
目の前にいるこいつの顔みたら
そんなの忘れちゃったよ。
嗚呼
これが
みんなが言ってた
アレなのかな?

「ごめんな。
待ったか?」

「ううん。
それ程は。
ねぇ
それよりも
あんた酒臭い。」

「悪い。
今まで連れと飲んでたんだ。」

「‥‥‥。
嘘だ。」

「は‥?」

「だから
嘘でしょ。
飲んでたの連れじゃないでしょ。」

「‥‥なんで?」

「連れとだったら
あんた
そんなにオシャレしないじゃん。
何回か一緒に飲んだけど
あんた殆どジャージだったよ。」

「あ‥‥。

よくわかったな。」

「うん。」

「で
今日はどうしたんだ?
お前から呼び出すなんて
珍しいじゃん。」

「‥‥。
ただ
会いたくなった
だけ
だよ。
あんたと
急に話したくなったの。」

「‥‥?
嬉しいね。
そんな風に言ってくれるなんて。
今日
お前素直だな。」

2人で学校の中をブラッと歩いて
たわいもない話をした。


体育館の
マットが敷いてあるところに
2人で座った。

足‥‥
寒いなぁ。
無理して履いてくるんじゃなかったかなぁ。
今日も
いつもと
変わらない

「ねぇー。」

「んー?」

「合コン
いい子いたのぉー?」

「んー‥。
女子大生の人達だったから
女っぽかった。
いい匂いした。」

「‥‥‥。
匂いとか
女子大生は流石だね。
あんた大人っぽいのが好みなんでしょ?
ドストライクじゃん。」

「‥‥んー。」

「違うの‥?」

「違わなくはないけど
違うかも。」

「‥‥はっきりしない。」

「うん。

‥‥‥つーか
できねーよ。」

「ん‥?」

「‥‥足
寒くないの?」

「えっ
あ。
大丈夫。」

「初めてだな
お前が
スカートはくの。」

「!

な
なんでわかるの‥?!」

「ずっと
お前を見てたから。」

「‥‥。」


「足
冷てぇ。」

あんたは私の足に
直で触るんだ。
しかも
太股って
お前。
肌
擦り合わせんな。
顔
近い。

「‥‥
酔ってんの?」

「かも。」

「止めて。」

移動しようと立とうとした瞬間
あいつの左手が
私の顔の
すぐ右側に来る。
‥‥
立てない。
しかも
逃げることもできない。

「うそつき。」

「‥は?」

あいつが
耳元なんかでしゃべるから
冷えきって
感覚が無くなっていた私の耳に
感覚が戻ってきて
もどかしい

太股をさする
指達も
生暖かくて
もどかしい


「お前さー
さっきから嘘つき過ぎ。
寒いのに寒くないって言うし
呼び出した理由も
ただ会いたくなったからとか言うし
かなり待ってたのに
それ程
なんて曖昧に言うし

‥‥
止めてほしくないのに
止めろって言うし。」

なんでだろ‥‥。
どうして?

「スカート。
はいてきてくれて
ありがと。
似合うよ。」

「‥‥うそだぁ‥。」

「本当。」

なんでだろ。
なんで‥‥

「‥‥お前さぁ」

「?」

「
俺が
好きだろ?
」



私の心に
踏み込んだの?



「知らない‥。」

「‥‥。
嘘つき。」





今日が新月で
本当に
良かったと思う。

踏み込んでくれて
ありがと。